ビルメンテナンスの仕事ってイメージしやすそうですが、改めて聞かれえると難しいですよね。
これからご紹介します内容が言えれば基本は大丈夫です。
ビルメンテナンス業務は細かく考えると多岐に分かれますのでここでは代表的な仕事内容をご紹介します。
そもそもビルメンテナンスとは?
ビルメンテナンスとは簡単に言いますと建物の維持管理を行うことです。
建物が汚れないように清掃を行ったり、設備が壊れないように保守点検を行ったり、受付や巡回点検を行う警備業務などです。
清掃関係
清掃では大きく分けて大きく分けて日常清掃と定期清掃に分かれます。
清掃に関する国家資格としてビルクリーニング技能士やハウスクリーニング技能士などがあります。
日常清掃
日常清掃とは皆さんがよくビルやショッピングモールなどで見かけるかと思いますが、清掃道具が入ったカートを押しながら廊下やトイレ等を掃除することを言います。
小さいビルでしたら建物のオーナーさんや管理会社が直接パートさんを雇用して行うこともありますが、だいたいは清掃会社(ビルメンテナンス会社)と契約して清掃員を派遣してもらいます。
契約時に清掃する曜日・時間・作業範囲・作業内容などを決め、それに準じて行っていきます。
定期清掃
定期清掃とは基本的には年に数回、床や窓ガラスを専用の道具(機械等)を使って清掃することを言います。
床の材質によって清掃方法は変わりますが、基本的にはポリッシャー(円形のブラシを搭載し洗剤を撒きながら床を清掃する機械)を使用して汚れを落とし、ワックスを塗布して仕上げます。
何回も定期清掃を行うとワックスがミルフィーユのような層になってしまい、ワックスとワックスの間に汚れが入ってしまい落ちなくなっていきます。
そこで塗り重なったワックスを汚れごと剥がす剥離清掃(はくりせいそう)という清掃方法もあります。
窓ガラス清掃は洗剤をしみこませた雑巾などで窓ガラスを拭き、スクイジーと呼ばれるT字の水切りゴムで水を切っていきます。
ビルの上階の外側窓ガラスなどは屋上からロープを伝って降りてきて掃除する方法と、ゴンドラを使って清掃する方法があります。
設備関係
ビルやショッピングモールなど建物の中には数限りなく機械設備が設置されており、保守を行う対象は膨大にありますので、ここでは建築物衛生法(不特定多数の人が利用する建物の維持管理方法)に該当する代表的な法定点検をご紹介します。
自家用電気工作物点検
必要資格:電気主任技術者 第一種・第二種・第三種 (業務可能な範囲が違います)
発電所から送られる高圧電気を低圧電気に変換する設備の保守点検
月次点検(毎月もしくは隔月1回)※絶縁監視装置があれば隔月点検でOK
年次点検(毎年もしくは3年に1回)※経済産業省の許可があれば3年に1回になる
非常用発電機点検
必要資格:消防設備士 甲種1類~5類、乙1類~7類
消防設備点検資格者 第1種、第2種
災害時に停電となった場合に、防災設備(消火ポンプ等)が動くようにするための発電機
点検内容は発電機等の外観に異常がないか確認する月次点検と、月次点検では調査できない細かい部分を確認する年次点検がある。
また年に1回、発電機を起動し実際に発電を行う負荷試験も義務付けられている。
建築設備定期検査
必要資格:一級建築士・二級建築士・建築設備検査員
1年に1回建築物に設けられている建築設備の状態を調査・検査しその結果を特定行政庁へ報告する。
検査内容として換気設備、排煙設備、非常用の照明設備、給水設備及び排水設備がある。
特殊建築物定期調査
必要資格:一級建築士・二級建築士・特殊建築物等調査資格者
建物の用途により2年に1回か、3年に1回の調査を行い特定行政庁へ報告する。
検査内容として敷地及び地盤、建築物の外部、屋上及び屋根、建築物の内部、避難設備などがある。
消防設備点検
必要資格:消防設備士・消防設備点検資格者
消防用設備等を設置した建物には年2回の設備の点検と所轄の消防署へ1年に1回(特定防火対象物)、または3年に1回(非特定防火対象物)の点検結果の報告が義務付けられている。
主な消防設備等として消火器、誘導灯、自動火災報知設備、屋内消火栓設備などがある。
防火設備点検
必要資格:一級建築士・二級建築士・防火設備検査員
防火扉や防火シャッターなどの防火設備に重点を置いた検査で年1回の報告が義務付けられている。
平成25年に起きた福岡市の診療所での事故をきっかけに新設された比較的新しい法律となる。
昇降機(エレベーター点検)
必要資格:一級建築士・二級建築士・昇降機等検査員
エレベーターの点検は定期検査方向、性能検査・定期自主検査、保守点検がある。
貯水槽清掃
必要資格:貯水槽清掃作業監督者
10㎥(10トン)以上の貯水槽は簡易専用水道に分類されるので、水道法により1年に1回以上の貯水槽清掃と水質検査が義務付けられている。
10㎥(10トン)以下であっても1年に1回以上の清掃を義務付ける自治体も増えてきている。
室内空気環境検査
必要資格:建築物環境衛生管理技術者・空気環境測定実施者
空気環境測定とは浮遊粉塵、一酸化炭素、二酸化炭素、温度、湿度、気流の6項目を検査する。
1年を通して2か月に1回行う。
各階ごとに居室の中央部を測定点とし、広い居室の場合には床面積に応じて測定点を増やす。
害虫防除
必要資格:防除作業監督者・毒物劇物取扱責任者(独立開業するなら)
建築物衛生法により6か月以内毎に1回定期に害虫、ネズミ等の調査を実施し、結果に基づき必要な処置を講ずるように定められている。
警備関係
警備業務と一言で言ってもその中身も多岐にわたります。
身辺警備(SPなど)や貴重品運搬警備業務のような特殊なものもありますが、ここではビルメンテナンスに関係の深い警備業務をご紹介します。
ちなみにビルメンテナンスの警備は悪者がいたら立ち向かわず、いち早く警察に連絡するように教えられています。
施設警備業務
警備員が施設等に常駐し、出入管理、施設巡回、監視業務を行い、盗難や事故の防止を警戒し防止する警備です。
雑踏警備
多くの不特定多数の人々が集中することによる群衆事故や雑踏事故を防ぐための警備です。
例を挙げると祭りや花火会場などのイベント会場で多数の群衆を対象としています。
交通誘導警備業務
人または車両の通行に危険のある場所における負傷・事故の発生を警戒し防止する警備です。
大型ショッピングモールの駐車場や工事現場などで停止や進行をお願いし、交通を円滑に進める業務です。(あくまでお願する立場ですがたまに勘違いしている警備員もいますね)
警備の資格
警備員自体は資格がなくても仕事ができますが、現場を離れマネジメントする側にいくには警備員指導教育責任者などの資格が必要となります。
警備に関する資格もいろいろありますがビルメンテナンス業でしたら上記の資格があれば基本は大丈夫です。
まとめ
これまでに紹介した内容はビルメンテナンス業の基本中の基本となりますが、まだまだいろいろな仕事があります。
ビルメンテナンス業とは法律で定められている業務がたくさんあります(法律で守られている)ので、仕事がなくなることがなく非常に安定している業種といえます。
しかし人々の生活に非常に密接しているため、停電したり水が出なくなったりなど何か問題が起きた場合には緊急で動かなければならないことが多く、365日対応24時間対応が求められます。
社会的に意義の大きい業種であり、非常にやりがいのある職種です。
また資格がものをいう業種でもありますので、頑張って資格を取ってきた方々には恩恵が大きくなります。
人や社会の役にたちたいを思える方にはこれ以上ない職種でありことには間違いありません。
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